診療内容
眼瞼下垂
眼瞼下垂とは眼を開いた時に上のまぶたがうまく挙がりにくい状態を指します。
眼瞼下垂には筋肉が上手く働かないことによるもの(狭義の眼瞼下垂)と、皮膚のたるみによるものの2種類があり、それぞれを確実に診断しておくことが、良い手術結果につながります。
眼瞼下垂になると自然と眉毛を上げたり顎を上げたりして対応しようとするため、眉毛が上がり、おでこにシワが寄り、頭痛や肩こりといった症状が出現します。
当院では年間1824件(2020年1月から12月まで;総手術数4016件のうち)の眼瞼下垂手術を手掛けております。この手術件数は国内のみでなく、海外も含めてトップレベルです。
その手術症例数に基づいた経験を活かし、患者さん個々人のまぶたの状態に合わせた診断と治療を行っています。他の医療機関で治らなかった、もしくは失敗してしまった方の修正も数多く手がけておりますので、どうぞ安心してご来院いただけたら幸いです。
(狭義の)眼瞼下垂とは
筋肉は、筋肉本体と、動かすものをつなぐ腱に分けられます。(ふくらはぎの筋肉とアキレス腱を考えると想像しやすいです)
狭義の眼瞼下垂では筋肉とまぶたをつないでいる挙筋腱膜という部分が緩んでいる場合と、まぶたを上げる筋肉自体が動かない場合の2つがあります。
このような場合には黒目や茶目の露出が少なくなり、眠いような表情になります。また眉毛を上げて物を見ようとするため、額にシワが寄ります。
一番多いのは老化やハードコンタクトレンズによって腱膜が伸びてしまい、筋肉の動きが伝わらなくなってしまう腱膜性眼瞼下垂です。これには伸びてしまった腱膜を若い時の位置に戻すことで治療を行います。同時に余分な皮膚や脂肪を切除し、二重まぶたを作成することもあります。
また後天的に筋肉が働かない疾患(生まれつき筋肉が動かない先天性眼瞼下垂や重症筋無力症、慢性進行性外眼筋麻痺など)にかかることで起こる眼瞼下垂には、まぶたの挙上を眉毛の筋肉に肩代わりをさせる前頭筋吊り上げ術を行います。
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正常
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眼瞼下垂の状態
広義の眼瞼下垂
まぶたを上げる筋肉に異常は無くても皮膚が垂れ下がり、視界を狭くしている状態が広義の眼瞼下垂です。
年齢を重ねれば必ず皮膚が伸びてきますので、40歳以上では万人に多少の皮膚のたるみが存在しています。
もともと一重まぶたの方は皮膚が直接垂れ下がるので眼瞼下垂の症状が強く出ることがあり、若い方では10代から目の重さ、肩こり、頭痛、おでこのシワ、逆さまつげなどの症状が出ることがあります。
治療は垂れ下がった皮膚の切除と二重線の作成になります。
眼瞼下垂治療の副作用やリスク、注意事項
- 術中にまぶたの形を確認するため主に局所麻酔で行いますが、小児の場合など状況に応じて全身麻酔で行います。
- 術前に痛みを感じにくいように鎮静剤を使用することがあります。
- 局所麻酔で手術をおこなう場合、重い痛みを感じることがあります。痛みが辛いようであれば、麻酔薬の追加や鎮痛剤の投与で対応します。
- 複数回手術をされている方は痛みが強い傾向にあります。
- できるだけ左右差を少なくするように手術を行いますが、完全に左右対称にはなりません。術後に左右差が大きい場合には再度縫合処置をしたり、再手術を行ったりする事があります。
- 術後徐々に傷痕は目立たなくなりますが傷痕が目立ったり、ケロイドになったりすることがあります。
- 術後に傷が離解した場合は再度縫合処置が必要です。
- 感染などで眼窩蜂巣炎になることがあります。
- 術中鎮静剤を使用した場合血圧低下、除脈、呼吸抑制などが起こることがあります。
2.(狭義の)眼瞼下垂への手術
腱膜性眼瞼下垂への手術は、伸びてしまった腱を若い時の位置に縫い直すことで改善することが出来ます(挙筋短縮術)。
手術と同時に余分な皮膚の切除や、重さの原因となっている脂肪の切除を行うこともあります。
軽度の場合には10分程度で終了しますが、状態によっては60分程度かかることもあります。
手術動画はこちら(実際の手術動画です。苦手な方はご遠慮ください)
上記と同内容の動画や、その他の治療説明の動画も
YouTube公式チャンネルにてご覧頂けます。
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外部ホームページで詳しく見る(Dr.鹿嶋ホームページ)
外部ホームページで詳しく見る(health direct)
術前は黒目の面積が小さく眉毛が上がっているため、睨んでいたり、
不満を抱えたりしているような目つきをしています。
術後には改善し、良い目つきになっていることが分かります。
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術前
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術後
こちらも術前には黒目の面積が小さく眉毛が上がっているため、
悪い目つきになってしまっていますが、術後には改善し良い目つきになっています。
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術前
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術後
3.皮膚弛緩(広義の眼瞼下垂)とは
皮膚がたるんで視野の邪魔をしたり、まつ毛を下げて逆さまつげになってしまったりしてしまうものです。
強く目を開こうとするため、頭痛や肩こりの原因になっていることも多い疾患です。
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黒目・茶目が見えていないため、
皮膚弛緩であるのか、
狭義の眼瞼下垂であるのか分かりません -
皮膚をつまみ上げると黒目・茶目は
十分に露出していることが分かります
4.皮膚弛緩への手術
まぶたの皮膚をしわの方向に瞼縁から5mm程度の位置で切開し、余剰の皮膚を切除します。
二重瞼を作製し皮膚を縫合します。脂肪を切除する場合があります。切って縫うだけの単純な術式ではありますが、デザインや縫い方にコツがあります。 目の横幅を大きく超えて目じりの皮膚まで切除しないと、逆に術後に目じりのしわが増えたように感じてしまうことがあるのです。
余剰皮膚を切除して二重まぶたを作ると、
黒目・茶目が十分に露出しました。
前述の症例
この方は右まぶたを他院で切除された後に修正を希望されて来院されました。
(左画像)右の目じりに皮膚が余っているため二重のラインが不自然になってしまっています。このように切って縫うだけの単純な手術ですが、デザインが悪いと仕上がりが非常に悪くなってしまうのもこの手術の特徴です。
(右画像)両方のまぶたを当院で手術しました。ほぼ左右差もなく、目じりのシワも自然になりました。
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右眼 手術未施行、
左眼 他院での手術後 -
上記の当院での手術後
(左画像)他医にて2回手術を行うが、皮膚弛緩が改善せず当院を受診皮膚を切除し、まぶたの膨らみの原因となっていた脂肪の切除を行い、重瞼を作成し、まつ毛を立たせた。
(右画像)まだ内出血がすこし残存しているが、綺麗な二重まぶたになっている逆さまつげも改善している。
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術前
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術後2週間
眼瞼下垂手術後の修正手術
他院で修正することが難しいと判断された方でも、今まで来院されたほとんどの方が治療が可能ですので、まずは一度ご相談いただけたらと思います。

眼瞼下垂手術(挙筋短縮術)の同意書文面
眼瞼下垂(挙筋短縮)手術を受けられる
患者さん、ご家族のみなさまへ
この説明書は、眼瞼下垂(挙筋短縮)手術について説明したものです。 わからないことがありましたら、担当医にお尋ねください。 治療を受けられる場合は「同意書」に署名をお願いいたします。
- あなたの病名と現在わかっていること、病態
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- 眼瞼下垂
- 眼瞼下垂とは眼を開いた時にまぶたがうまく挙がりにくい状態です。
- まぶたを挙げる筋肉(眼瞼挙筋、ミュラー筋)やそれにつながる腱膜(挙筋腱膜)、その筋肉を動かす神経の異常でおこります。先天性は眼瞼挙筋の形成不全でおこります。後天性は加齢により筋肉につながる腱膜が緩んだり切れたりして、眼瞼挙筋が収縮してもその力がまぶたにうまく伝わらない状態です。両眼性がほとんどです。怪我や病気(外眼筋ミオパチーなど)に続発して眼瞼挙筋の働きが悪くなるものがあります。
- この治療の目的・必要性・有効性
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- この治療法は目を開けた時にまぶたがあがるようにすることで、結果として、視野を広げたり、整容的に改善したり、頭痛や肩こりの改善が望めます。どのような効果が得られるかは、患者さんの状態により個人差があります。
- この治療をすることで、整容的な改善、両眼でものを見る力の改善、眼精疲労の解消、頭位異常の改善などが望めます。
- この治療の内容と性格および注意事項
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- 術中にまぶたの形を確認するため主に局所麻酔で行いますが、小児の場合など状況に応じて全身麻酔で行います。術前に痛みを感じにくいように鎮静剤を使用することがあります。局所麻酔で手術をおこなう場合、重い痛みを感じることがあります。痛みが辛いようであれば、麻酔薬の追加や鎮痛剤の投与で対応します。複数回手術をされている方は痛みが強い傾向にあります。
- 皮膚切開法・・・・まぶたの皮膚をしわの方向に瞼縁から5mm程度の位置で切開し、余剰がある場合は切除します。まぶたを挙げる薄い膜状の筋肉(眼瞼挙筋やミュラー筋)を周囲組織から剥がします。その後、瞼板という硬い組織に眼瞼挙筋腱膜を短くして縫い付けます。脂肪を切除する場合もあります。二重瞼を作製し皮膚を縫合します。
- 結膜切開法・・・・まぶたの裏から結膜と筋肉を切開して短縮することで眼瞼を挙上します。1週間程度ゴロゴロすることがあります。
- どのくらいの矯正量にするかなどは、術中に定量しますが、術中の定量による予測より誤差が生じてしまう方がいます。その場合、縫合のし直しなど手術の追加が必要になることがあります。
- 手術後眼帯をし、その上から冷却が必要です。
- 術後1週間、軟膏を使用してもらいます。術翌日からシャワー浴・洗顔・洗髪は可能です。創部に汚れがたまると不潔になりますので、毎日軽く洗い流すようにしてください。ただしまだ癒着していませんので強くこすることはおやめください。3日後からは入浴が可能です。約1週間で創部の化粧は可能です。術後二重瞼となり大きく顔貌が変化する場合があります。また術後に腫れますので創部が醜く見える可能性がありますが、完全に腫れが消退し、完成した状態になるためには約6か月が必要です。
- 傷口に色素沈着が残るので術後6か月間は強い日焼けを避けてください。
- 当院ではチームとしての医療を行っており、厳格な基準を経た指導のもとに手術を行っていますが、通常の保険診療の場合には手術を担当する医師は指定することはできません。担当医を指名する場合には自由診療での手術になります。
- この治療に伴う危険性とその発生率
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- 手術により創部が腫れ、内出血が起こります。翌日にはとても腫れます。腫れの消退は最初の2週間で8割程度改善し、完全な消退には約6ヵ月かかります。内出血(アザ)の完全な消退には4週間程度かかります。
- まぶたの筋肉を正常に戻すことにより涙の吸収も正常に戻るため、眼の乾燥を感じることが多いです。また、完全に閉じることができなくなることがあります。この場合は点眼や軟膏治療が必要となります。
- 再発することがあります。
- できるだけ左右差を少なくするように手術を行いますが、完全に左右対称にはなりません。術後に左右差が大きい場合には再度縫合処置をしたり、再手術を行ったりする事があります。再縫合・再手術の確率は10%です。保険診療の場合にはその都度費用がかかります。
- 術後徐々に傷痕は目立たなくなりますが傷痕が目立ったり、ケロイドになったりすることがあります。
- 術後の美容的な修正(もう少しここの皮膚を取ってほしい、など)を保険診療で行うことはできません。
- 半年から1年程度で筋肉が弛緩し、再発することがありますが、その場合には再手術が必要になることもあります。
- 保険診療での手術の場合には、術後の見た目の修正(もう少しここの二重瞼を修正してほしい、など)を行うことはできません。
- 美容手術後の修正手術は、すべて自費になります。
- 手術には限界があり100%理想的な状態になることはありません。(テストで100点を取り続けることが出来ないのと同様です)
- 術後に傷が離解した場合は再度縫合処置が必要です。
- 感染などで眼窩蜂巣炎になることがあります。
- 術中鎮静剤を使用した場合血圧低下、除脈、呼吸抑制などが起こることがあります。
- 偶発症発生時の対応
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- 万が一,偶発症が起きた場合には最善の処置を行います。なお,その際の医療は通常の保険診療となります。
- 代替可能な治療
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- テープなどでまぶたを上げる。皮膚が荒れる恐れがあります。
- 治療を行った場合に予想される経過
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- 術直後は、腫れが強く、下垂気味となりますが、通常は時間がたてば落ち着きます。
- 術後、良好な状態でも、時間が経つとまた眼瞼下垂が出てきて、元の状態に戻ってしまうことがあります。その場合、再手術が必要になることがあります。
- 眼が閉じにくくなりますので、就寝時には角膜(黒目)が露出することもあります。その場合、角膜が乾燥しないように眼軟膏を使用することがあります。
- 挙筋機能が悪くこの手術で挙がらない場合は前頭筋つり上げ手術が必要になる場合があります。
- 術後眉毛の位置が変化することにより皮膚弛緩が出てきた場合は追加で切除します。
- 片目だけ手術をした際は術後反対側の隠れた眼瞼下垂が出てくる可能性があります。
- 何も治療を行わなかった場合に予想される経過
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- 眼瞼下垂のために視界不良、頭痛、肩こり、眼精疲労や、整容的問題など症状は永続します。
- 患者さんの具体的な希望
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- 治療に関して何かご要望があればお伝えください
- 治療の同意を撤回する場合
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- いったん同意書を提出しても,治療が開始されるまでは,本治療を受けることをやめることができます。やめる場合にはその旨を下記まで連絡してください。
- 連絡先
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- 本治療について質問がある場合や,治療を受けた後緊急の事態が発生した場合には,クリニックまで連絡してください。
【連絡先】
住所:前橋市古市町180-1
病院:新前橋かしま眼科形成外科クリニック
電話:027-288-0224、080-3401-9510
- 本治療について質問がある場合や,治療を受けた後緊急の事態が発生した場合には,クリニックまで連絡してください。
- 説明日: 年 月 日
- 説明医師: 鹿嶋 友敬
同 意 文 書
病院長 殿
眥は,眼瞼下垂(挙筋短縮)手術 を受けるにあたり,下記の医師から,説明文書に記載されたすべての事項について説明を受け,その内容を十分に理解しました。また,眥は,この検査(治療)を受けるかどうか検討するにあたり,そのための時間も十分に与えられました。以上のもとで,自由な意思に基づき,この治療・検査を受けることに同意します。
なお,説明文書とこの同意文書の写しを受け取りました。
□ 病名・病態
□ 治療の目的・必要性・有効性
□ 治療の内容と性格および注意事項
□ 治療に伴う危険性とその発生率
□ 偶発症発生時の対応
□ 代替可能な治療およびそれに伴う危険性とその発生率
□ 治療を行った場合の予測される中長期的経過・予後
□ 治療を行わなかった場合に予想される経過
□ 患者さんの具体的希望
□ 治療の同意撤回
【説明】
説明年月日:平成 年 月 日
説明した医師:
同席者 :
【同意】
同意年月日:平成 年 月 日
同意者(本人):
*患者さんに判断能力がない場合にのみ,代諾者が,自筆署名,もしくは記名押印してください。
(代諾者):
(患者さんとの関係: )
立会人: (患者さんとの関係: )