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TRAbとTSAbの違いと、
眼症の活動性との関係

 

TRAbとTSAbの違いと
眼症の活動性との関係

この違いと、活動性との関連が整理されていない方多いんじゃないかなと思います。
是非、こちらの動画を見てみてください。

高評価、イイね、お願いします!!m(__)m
動画のナレーションの書き起こしを付けておきますね。
バセドウ病眼症で定期的に計測する、自己抗体やTRab、TSabについて解説いたします。
最初にバセドウ病本体の自己抗体から解説します。

バセドウ病本体の自己抗体について

甲状腺ホルモンは甲状腺から出ますが、上位の器官として脳下垂体があり、さらに上位の器官として視床下部があります。視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が出て、それが脳下垂体を刺激し、脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出て、それが甲状腺にくっつくことで甲状腺ホルモンが出るのです。
上司からの指令を、部下が受けているような状態になっています。それぞれの働きは監視され、働きすぎていると、指令が少なくなり、バランスを取るように設計されています。まさに良い上司と部下の関係ですね。これがバセドウ病になると何が起きるのでしょうか。

 

TSHレセプター抗体(TRAb)について

バセドウ病では、甲状腺刺激ホルモンに類似した自己抗体が出来てしまいます。
これをTSHレセプター抗体(TRAb)と言います。
これが甲状腺の受容体にくっつくと、甲状腺は本物のTSHからの指令を受けたのと同じように甲状腺ホルモンを分泌するのです。
つまり成りすまし上司が出てきて、部下に働け働けと言っているようなものです。
この成りすまし上司は無限に部下を働かせます。
部下は必至で働くので、甲状腺機能亢進症という状態になり、汗をかき、心拍数が早くなり、息切れするなどの症状がでます。
このTRAbは目にも働くので、バセドウ病眼症が起きてしまうのです。
ところで、このTRAbに似た名前のTSAbというものがあります。この二つの違いは何なのでしょうか?

 

 

TRAbとTSAbの違いについて

TRABは、二種類の抗体のミックスになっているのです。それはThyroid stimulating antibody(TSAB)と、TSH stimulation blocking antibody(TSBAb)です。
後者にBlockingという 言葉が入っています。

 

TSAbとは?

TSABは甲状腺ホルモンの分泌を促す抗体ですが、TSBABは逆に甲状腺の受容体に取りつくものの甲状腺ホルモンを出すことを妨害します。
つまり先ほどの成りすまし上司に例えると、TSABは上手く成りすました上司で、部下が言うことを聞くのですが、TSBABは成りすましが下手で、部下が言うことを聞かないというところでしょうか。
ではこれらの自己抗体と、バセドウ病眼症の活動性にはどのような関連があるのでしょうか。

 

TRAbとは?

TRABについては、バセドウ病眼症の活動性と関連が有るという報告と無いという報告があり、あまり相関がない、というのが実情のようです。
しかしTSABについては眼症の活動性と関連がある、という報告が上がっています。これは先述のとおり、TRABは二つの抗体が混じったもので、TSABはそのうち亢進症に働く抗体を選別したものになるのですから、TSABが鋭敏なのは当然かもしれません。

ただ、知っておいていただきたいのですが、TSABの数値が高いと眼症が必ず悪化する、というわけではありません。これは多数の患者さんのデータを集めると、その傾向がある、ということにすぎず、一人ひとりをみると必ずしも相関するものではないのです。
医師から見たらたくさんの患者さん全体の傾向を見る必要があるために、そのような言い方になりますが、患者さんは自分自身のからだだけのことを知りたいはずですから、全く視点が違うのです。

 

バセドウ病眼症の原因について

最後にバセドウ病眼症の原因について見てみます。
バセドウ病眼症の患者ではTSH受容体とインスリン様成長因子1受容体の発現が眼窩の組織に多いことが分かっていてなんらかの免疫学的機序が考えらています。
しかし、詳細な原因は全く分かっていません。甲状腺とは別に起こるので甲状腺の状態が正常化したとしても眼症は治らないということだけは覚えておく必要があります。

※読んで勉強になったり、面白かったと感じたら、いいね!をお願いいたします!

 

2019年手術実績 
3850件(2019年1-12月)

経歴 群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
医院名 オキュロフェイシャルクリニック東京
住所 中央区銀座1丁目ビル8F
電話番号 03-5579-9995
公式サイト こちらから
MAP こちらから

バセドウ病眼症への治療
についての動画

 

 

2019年11月10日のバセドウ病眼症
講演会の内容はこちら

 

OurAgeに特集していただきました
こちらから

 

バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ

「1時間で分かる甲状腺眼症
入門パンフレット」

 
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現物

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kindle版

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著者情報

鹿嶋 友敬

Tomoyuki Kashima
/ MD, PhD

患者さんへのご挨拶

これまで10年以上にわたり日米通算1万件以上の手術を行って参りました。 今までに私が培ってきた最先端医療の知識や経験を日本でお困りの患者さんの為に提供していきたいと思っています。

経 歴

2002年 群馬大医学部卒 群馬大学
眼科学教室
2004年 伊勢崎市民病院
2005年 群馬大眼科
2007年-09年 聖隷浜松病院
眼形成眼窩外科へ国内留学
2009年 群馬大にて眼形成外来を開設
2012年 学位取得
群馬大学眼科 助教
2010年-18年 アジア太平洋眼形成学会理事
2015年-16年 カリフォルニア大学
ロサンゼルス校へ留学
2017年 新前橋かしま眼科形成外科
クリニック 開院
2018年 オキュロフェイシャルクリニック
東京 開院
2019年 The NewYork Times特別企画「Next Era Leaders 2019」選出
2020年 アメリカ眼形成学会(ASOPRS)会員

海外・国内活動

2009年 Singapore National Eye Center
2010年 アジア太平洋眼形成外科学会 北京
Invited Speaker
2011年 ヨーロッパ眼形成学会 コモ(イタリア)
2012年 世界眼科会議 アブダビ
Invited Speaker Asia ARVO 
シンガポール Invited Speaker APAO 釜山 Invited Speaker
アメリカ眼科学会 シカゴ
Invited Speaker
2013年 APAO ハイデラバード
Invited Speaker アメリカ小児眼科学会
シンガポール Invited Speaker
ヨーロッパ眼形成学会 バルセロナ
2014年 世界眼科会議 東京 Invited Speaker
アジア太平洋眼形成外科学会 デリー
アメリカ眼形成学会 シカゴ
2015年 APAO 広州 Invited Speaker
2016年 KSAS(Korea Society of Aesthetic Surgery) meeting in Seoul
ITEDS(International Thyroid
Eye Disease) meeting in
London APSOPRS &
JSOPRS joint meeting session
chair iseminer
甲状腺眼症の手術治療など講演多数。
2017年 アメリカ眼科アカデミーinstructor、
韓国眼形成学会invited speaker、
中国眼形成学会invited speaker
2018年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker
2019年 アジア太平洋国際学会APAO invited speaker、
ITEDS invited speaker、
OPAIC invited speaker
2021年 アジア太平洋眼形成学会 invited speaker

監修・著書

メオアイス
監修

外眼部の周術期のケアに

メオアイス
名古屋眼鏡 まぶたやその周囲の手術のあとの”腫れ”や”痛み”を防止する目的で作られた医療用商品です。

アトラス眼瞼手術
著書

責任編集者

超アトラス 眼瞼手術
全日本病院出版 眼科と形成外科のコラボレーションを目指す、意欲的なアトラスが登場! オールカラーの連続写真、詳細なシェーマでわかりやすく解説されています。

眼瞼形成手術の基本手技
著書

責任編集者

ここからスタート! 眼形成手術の基本手技
全日本病院出版 眼形成外科を目指すドクターへの入門書。手術の道具や手技を詳細に解説しています。

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