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紹介状を書かない病院に起きること
紹介状を書かない病院に起きること
ある病院に通院している患者さんのブログを見ていたら
転院したいと伝えたところ
担当医に「紹介状は書かない」と言われたと書かれていました
紹介状を書かない、ということはどういうことなのかを書きたいと思います
まず患者さんの医療に関わる情報は、患者さんの個人情報です
医療機関のものではありません
患者さんは自分自身の情報を知る権利があります
だから医療情報を医療機関が独占して外に出さない、という権利はありません
当院では患者さんから「昔の写真欲しい」とかって言われたら
「どーぞどーぞ」って言って持って行ってもらいます
流石に何百枚も全部欲しいと言われたらカラー印刷代実費で貰いますけどね
患者さんの医療情報は、患者さんのもの、これが第一点
それから医者としてどうなのか、なんですが
以前も広島の医療機関で紹介状を書かないって言われた人が居たって話を書きました
医者は入職してまず教わる基本的な事柄の1つが紹介状の書き方です
基本的に医師同士の情報伝達を妨害してはいけないのですね
これは本当に基本の基本
医者にとって守らなければいけない法律のようなものです
患者の求めがあれば紹介状を書くこと
次の医療機関に行っても、滞りなく治療を受けられるように
本当に基本的な事なのです
一般の皆さんで言えば、刑法みたいなもんです
紹介状を書かないということは、そういう医者としての倫理的なことに違反しているということ
次に患者さんの権利の問題があります
患者さんは自分で医療機関を選び、自分で治療法を選択する権利があります
これはリスボン宣言というもので日本医師会も批准しているものです
患者の権利に関する医師の行動規範のようなものです
繰り返しますが、患者さんは自分で医療機関を選び、自分で治療法を選択する権利がある
これにも違反しています
こんなことをして、誰が得をするのか
患者さんは前医からの情報が次の医療機関へ受け継がれませんから
不利益しかありません
前医は、患者さんの権利を踏みにじり不利益を押し付けている
これが3つ目
そしてその結果起きることの意味を考えて欲しい
昔は情報伝達が十分ではなかったので
その道の権威とされている媒体や組織が重要でした
そこからしか情報が入手できなかったので
そこに人が集まっていたのですね
大学病院
名医について書いてある本
テレビ番組
なんかがそうですね
自転車の車輪に例えてハブアンドスポークなんて言い方もされます
情報は中央集権的であったのです
それがインターネットの発達によって
中央集権的な構造が崩れ、個と個が直接つながれるようになってきました
そうすると探せばかなりの情報は個人個人で入手できる
こういうブログの記事みたいに患者さん個人個人が発信できる時代になってきたのです
そうなると良い治療をしている病院への賛辞が増え
悪い対応をしている病院への悪意も増えます
その結果、良い病院には患者が集まり、悪い病院の患者は減ります
いまは病院にかかる高齢者はネットを使いこなせていないかもしれませんが
今後10年でこの傾向はどんどん加速する
バセドウ病眼症は若い年代に発症する病気なので
時代を先取りしているのですね
患者さんにとっては良い時代
権威にあぐらをかいている対応の悪い病院にとっては悪い時代かもしれませんが
それは自業自得だと思います
そもそも自分が勉強しないのが悪い
僕は眼窩手術で日本で一番の症例数がある聖隷浜松病院で修業し
眼窩手術で世界一有名なUCLAのゴールドバーグ先生に師事しました
だから眼窩手術で国内で同じ位置にいる人はいません
で、いつもブログで書いていますが
眼科医に僕の知識・経験のすべてを教えたいと思っている
師匠たちに教えてもらったことは次世代につながないといけないという義務感・危機感があります
このまま僕が死んだら、僕が学んだ世界の最先端の技術は日本から無くなってしまう
だから当院では眼科医の見学・研修はウェルカム
断ることはありません
僕の診察を受けた方は分かるかもしれませんが
後ろに何人かいることがありますが、あの人たちが見学のドクターなんですね
前医の先生だって、教えて欲しいと言われれば教えてあげるのに、と思っています
自分の権威としてのプライドと患者さんの利益を比べて
自分のプライドを選び
その結果、ネット上に悪評が残る
めちゃくちゃ悪循環じゃないですか
もー本当に何やってるんすか、パイセン!!!
って言いたい(笑)
先達のことは尊敬したい気持ちはあるんですが、今回のことは尊敬できません!
あ、そうそう、患者さんの情報を公開せず
不利益を強いるような医者がいたら
保健所に相談してみるのが良いと思います
すぐに対応が変わると思います